2006年06月26日

生きるスタンス

人それぞれには、人それぞれの考え方がある。
大袈裟に言えば、
それは生きる上での心情とでも、言えるかもしれないし、
スタンスと言い換えてもいいのかもしれない。

小説の中で、主人公がどうしても拘り続ける物事に対して
上手く理解できないときがある。
全く解らないのならば、その小説がつまらないと切り捨てて
落ち着くことが出来るのだが、
理解は出来るのだが、そこまで拘るようなことだろうかと
思ってしまったりする時、
そしてその小説がとても面白かったりした時には、
どうにも心の座り心地が悪かったりするものである。

垣根涼介さんの「ワイルド・ソウル」を読んだ。
面白かった。
そして考えさせられた。
エンターテイメントとしてだけではなく、
戦後日本史という観点からも、
とても興味深く、しかも心揺さぶられる物語だった。

一人の女性がこの物語には登場する。
彼女の心の葛藤が、この物語の一つのポイントとなる。
僕はこの女性の心模様が、上手く理解出来なかった。
解らないのではない。上手く心に響いてこなかったのだ。

それは彼女と僕の、生きる上でのスタンスの違いなのだろう。
だからこの違和感は、小説に対する評価というよりも
僕と小説との相性の問題、ということになる。

面白くて、考えさせられて、
心躍らされて、一気に読まされた。
人の人生、自分の人生、考え方は色々、そして相性も色々。
それでも「ワイルド・ソウル」は、とても面白い小説だった。

ワイルド・ソウル〈上〉


yori1199 at 23:20 │Comments(12)TrackBack(10)この記事をクリップ!垣根 涼介 

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1. ワイルド・ソウル (垣根涼介)  [ ぶっき Library... ]   2006年06月27日 06:11
この作家の作品は4つ目ですが、これまで読んだ3作品とは桁違いの力作でした。 戦後日本の移民政策を糾弾しているので、社会派小説ということになりそうですが、確かに前半はそれっぽい重厚さがありますが、後半に入ると、他の作品に比べれば腰の据わった筆致ながら、こ...
2. 「ワイルド・ソウル」垣根涼介  [ 本のある生活 ]   2006年06月27日 22:36
ワイルド・ソウル おもしろかったですー。東京を縦断しながら、フルスロットルで加速する史上最強のクライム・エンターテインメントと帯にあるように、まさにエンターテインメント!ハラハラドキドキしながら充分楽しむことができました。でもおもしろくて痛快というだけ....
3. かってにキャスティング『ワイルドソウル』  [ D.D.のたわごと ]   2006年07月18日 12:47
{/hikari_pink/}ワイルド・ソウル{/kirakira/}垣根 涼介幻冬舎 マジですごいっすわ… 一九六一年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。その四十数年後、三...
4. 垣根涼介【ワイルド・ソウル】  [ ぱんどら日記 ]   2006年07月30日 15:05
テレビをつけっぱなしにして、その音を聞きながら本を読むのが癖になっている。 ブラジル移民の苦しみと報復を描いた【ワイルド・ソウル】を読んでいるとき、「ドミニカ移民訴訟」のニュースが耳に飛び込んできた。
5. ワイルド・ソウル  垣根涼介  [ 今更なんですがの本の話 ]   2006年08月12日 19:19
告白します。実は私はミステリーやノベルズなどでよく用いられる2段組のページ構成というのが苦手です。 別にそこになんらかの深い理由が存在するわけでも無いのですが、2段になった本を見るとそれだけで読む気が半減してしまったりしてしまいます。 そのせいで避けてし....
6. ワイルド・ソウル 〔垣根涼介〕  [ まったり読書日記 ]   2007年03月08日 21:53
4   ≪内容≫ 覚醒した怒りが三百発の弾丸と化す! 嵌められた枠組みを打破するために颯爽と走り出した男女の姿を圧倒的なスケールと筆致で描く、史上最強の犯罪小説。 幻冬舎創立九周年記念特別作品。 (出版社/著者からの内容紹介より) この作品で、2004年....
7. ワイルド・ソウル 垣根涼介著。  [ じゃじゃままブックレビュー ]   2007年03月09日 09:20
う~~、野生の魂???そのまんまで、熱い!熱すぎる!!!! ブラジル移民たちの苦悩(なんてもんじゃないね!本当、絶望の連続の生と死を懸けての闘い!!)は読んでいて胸に詰まるものもあり、実際日系ブラジル人の知り合いがいるので、ああ、そうか、彼女たちの親はこんな...
8. 47:ワイルド・ソウル  [ プリン@BOOK CAFE ]   2007年03月10日 13:56
3 垣根 涼介の『ワイルド・ソウル』です 1961年、外務省主導で実施されたアマゾン移住政策。 家財をかき集め、親戚中から金を借り、衛藤一家も夢のアマゾンへ渡りました。 植物が驚異的な速さで成長する熱帯、ブラジルには野菜を作る農家は皆無に近いから必ず成功する。...
9. ワイルド・ソウル(上・下)  [ どくしょ。るーむ。 ]   2007年04月13日 21:42
著者:垣根 涼介出版:幻冬舎文庫ジャンル:小説紹介文:『ブラジル移民』という言葉や、その政策が無謀なものだったこと程度は知っていても、それがどれだけ非人間的なことだったのか、ブラジルへ渡った人々はどうなったのか、全くというほど知りませんでした。冒頭部分で....
10. 「ワイルド・ソウル(下)」垣根涼介  [ うらひろ ]   2008年04月17日 08:50
「ワイルド・ソウル〈下〉」 垣根涼介(幻冬舎文庫) ケイたち三人は外務省襲撃、元官僚の誘拐という復讐戦を開始した。ニュースディレクターの貴子はケイと出会い翻弄されていく。そして繰り広げられる警察との頭脳戦。完璧なはずの計画はやがて思いがけない展開....

この記事へのコメント

1. Posted by ひねもじら 乃太朗    2006年06月27日 06:22
わたしも、戦後日本史という観点から、興味を感じました。というか驚きました。重厚なテーマですが、過剰に重苦しくならないのが、この作家のいいところですね!
2. Posted by june    2006年06月27日 22:43
この間はドミニカ移民の裁判の話をニュースで見て、驚きました。これに近いことが実際にあったのですね・・(無知でした)。
これ、小説としてもすごくおもしろいし、歴史の陰の部分である移民のことを知るという意味でも、もっとたくさんの人に読んでほしいなと思います。
3. Posted by yori    2006年06月27日 23:15
ひねもじら乃太朗さん
確かに、これだけ重いテーマを扱いながら、あの明るさは妙でしたね 笑 それだから救われたというか、作者が意識して日本人的なものから、ラテン的な乗りに、ミスリードしたのかもしれませんね 苦笑 
4. Posted by yori    2006年06月27日 23:20
juneさん
「ドミニカ移民の裁判」の話は知りませんでした。そして勿論、ブラジル移民の話だって知りませんでした。もう一つの昭和史とでも言うような重い中身ですが、小説は何故か明るかったですね 笑
 明るかったから、少しだけ救われました・・・ あえて明るくしてくれた作者に感謝です。
5. Posted by たまねぎ    2006年08月12日 19:25
yoriさんこんばんは。
確かに彼女の行動、決断はうーんとなりますよね。
それでも私もたっぷり楽しめました。
それはやっぱり垣根さんの力なんでしょうね。
6. Posted by yori    2006年08月12日 22:19
たまねぎさん
そうですね!!
作家の力量なのかもしれませんね!!
物語にスピード感がある、
そんな良い作品を書く作家ですから、
勢いで押し切られてしまうのかもしれませんね 笑
7. Posted by エビノート    2007年03月08日 22:08
こんばんは!
ブラジルへの移民のことも、ドミニカ移民の裁判のことも何にも知らなかったんだなぁと自分の無知を恥じました。
その生活の過酷さを前半でしっかり垣間見たおかげで、後半の復讐劇を応援しながら読めたんだと思います。
8. Posted by yori    2007年03月08日 23:42
エビノートさん
まさに仰る通り、前半の影響でしょうね、
完璧に犯人を応援しながら読んでしまいました 苦笑
でもこの物語の犯人は、
そうでなくとも応援したくなりますね 笑
9. Posted by じゃじゃまま    2007年03月10日 17:44
TBうまくできてたんですね。失敗したかと思っていました。
移民については今まで無知だったので、このように物語で知ったことよかったと思います。
でも私もあの女性、あんまり相性よくなかったような気がします。
10. Posted by yori    2007年03月10日 18:13
じゃじゃまるさん
ラテンの乗りで、重苦しいこの小説に
潤いを持たせようとしたのでしょうか 笑
確かにそのおかげで、すんなりと読めましたね!!
11. Posted by ひろねこ@管理人    2008年04月17日 08:55
棄民政策、知識としてはなんとなく知っていたけど、この作品を読んで衝撃でした。
これを知ってしまったら、犯人を応援してしまいますよね。
息をつかせぬ展開で、暗いことも描いているのに、最後に明るく終わったところが良かったなと思いました。
12. Posted by yori    2008年04月17日 22:24
ひろねこさん こんばんは
ハラハラドキドキさせてのハッピーエンドはやはり王道ですね!!

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