2007年03月19日

絡んだ想いの直し方

僕は東野圭吾さんのファンである。
そして僕は、彼の最高傑作は「白夜行」であり、
彼の多くの優れた作品が、
「白夜行」以前に書かれている、と思っている人である。

このブログでも何回か触れてきているが、
「白夜行」以降の東野圭吾は
まさに「白夜行」を超えるために戦い、
「白夜行」を超えるためにもがいている、
そんな印象を受ける。

もちろん、あくまでも私感である。
東野圭吾さん御本人が「白夜行」を超えるために
それ以降の作品を書き続けているはずもなく、
彼は常に新作こそが自信作だという思いを込めて
作家としての信念を持って
次の作品、そのまた次の作品と書き続けていることだろう。

東圭吾さんの最新作
「使命と魂のリミット」を読んだ。

見事だった。
ストーリー小説としても、
ミステリーとしても
ヒューマンドラマとしても、一級の出来映えであった。

そこには気負いも衒いも無かった。
ただ淡々と、職人が丁寧に仕事をこなしていくような、
静かだけれど、しっかりとした気概が、そこからは見て取れた。

何かが吹っ切れたのだろうか。
何かを吹っ切ったのだろうか。
そこでは昔ながらの東野圭吾に、
今を築いた東野圭吾が、しっくりと同居していた。

ラスト近くからは涙が止まらなかった。
悲しみの涙ではなく、喜びの涙でもない。
僕の瞳を濡らしたのは紛れもない、感動の涙だった。

「白夜行」に束縛されていたのは
もしかしたら東野さんではなく、
読者である僕の方だったのかもしれない。

「使命と魂のリミット」は
「白夜行」という呪縛から
僕を解き放ってくれた傑作だった。

使命と魂のリミット


yori1199 at 23:37 │Comments(14)TrackBack(9)この記事をクリップ!東野圭吾 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 使命と魂のリミット 〔東野圭吾〕  [ まったり読書日記 ]   2007年03月20日 20:40
3 使命と魂のリミット東野 圭吾 新潮社 2006-12-06売り上げランキング : 676おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。 その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。 あの...
2. 東野圭吾「使命と魂のリミット」  [ 聞いてあげるよ君の話を ]   2007年03月31日 00:58
3 研修医の夕紀は、父を心臓手術中に亡くしていた その手術の執刀医、西園教授は今や夕紀の母とつき合っている 名医とうたわれる西崎は、何故父を救えなかったのっだろうか? 夕紀の心に残る疑惑.... 真実は何だったのか?  人は生まれながらにして使命を与えられてい....
3. 使命と魂のリミット 東野圭吾  [ 苗坊の読書日記 ]   2007年04月01日 13:10
4 使命と魂のリミット 氷室夕紀は父の死をきっかけとして、心臓外科医を目指している。 今は研修医として、数々のオペに立ち会っている。 夕紀が医師を目指したのは、父の死に対して、ひとつの疑惑を感じていたからだった。 看護婦の望の恋人である譲治はエンジニア。 望....
4. 使命と魂のリミット/東野圭吾  [ Crescent Moon ]   2007年05月09日 12:56
4  心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。 その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。 心の限界に挑む医学サスペンス。(「BOOK」データベースより) 読了感がとっても爽やかな1冊でした♪ 皆、いい人すぎる〜!
5. 使命と魂のリミット  東野圭吾  [ 今更なんですがの本の話 ]   2007年05月18日 00:26
氷室夕紀が医者を志したのには二つの理由があった。 一つは父のような人を助けること。 もう一つは父の死の真相を知ること。 帝都大学医学部を卒業した夕紀は、同大学病院にて研修プログラムを受けている真っ最中だった。現在は内科、外科、救急を経て心臓血管外科に....
6. 東野圭吾【使命と魂のリミット】  [ ぱんどら日記 ]   2007年05月26日 11:54
まっすぐで、美しくて、正しい小説。 あまりに「まっすぐ」すぎる印象もなくはない。やさぐれ刑事キャラが、途中から全面的に正義の化身キャラに切り替わってしまうあたりも、いかがなものか。途中から正義の化身になる????@
7. 使命と魂のリミット⇔東野圭吾  [ らぶほん−本に埋もれて ]   2007年06月16日 02:17
4 使命と魂のリミット 東野圭吾? 心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。?その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。 心の限界に挑む医学サスペンス。 ■□■□■□■□ 人気blogランキングへ
8. (書評)使命と魂のリミット  [ たこの感想文 ]   2007年10月21日 12:40
著者:東野圭吾 使命と魂のリミット価格:¥ 1,680(税込)発売日:2006-
9. 本「使命と魂のリミット」  [ <花>の本と映画の感想 ]   2007年10月22日 21:48
使命と魂のリミット 東野圭吾 新潮社 2006年12月 氷室夕紀は、父健介を大動脈瘤の手術で失ったことから心臓外科医を目指し、今は研修医として、西園陽平教授のいる帝都大学病院の心臓血管外科に勤務していた。一方、直井穣治は、ある目的の為、帝都大学病院...

この記事へのコメント

1. Posted by エビノート    2007年03月20日 20:50
職人の仕事、まさにそんな印象でしたね!
加賀恭一郎や湯川助教授と同様に、
七尾刑事もまた別の作品で登場してくれないかしら?と期待してます(^_^;)

東野さんのエッセイ『たぶん最後の御挨拶』を読んだんですが、
その本には自作解説があって、読みたい作品が増えました!
2. Posted by yori    2007年03月21日 19:39
エビノートさん
七尾刑事、良かったですね。
これはもう思い切って
次作では加賀と対決でしょう 笑
3. Posted by きりり    2007年03月31日 00:42
面白かったです 堅い話と思っていたので、そんなことなく最後まで引っ張る力みたいなのを感じるほどでした
ただ使命って言うのが、意外と自分から遠いことばに感じられてしまったの私自身が残念です(泣)
4. Posted by 苗坊    2007年04月01日 13:23
素敵な作品でしたね〜。
私も堅い話だと思っていたのですが、中身は人間味のある素敵な作品でした。
良かったです。

骨休めされているんですよね。
ゆっくり休んで、また一緒にお話しましょう^^
待ってます。
5. Posted by yori    2007年04月01日 21:54
きりりさん
きりりさんが書いていたように、
装丁がもう少しどうにかならなかったのかな
と思います 笑
それとタイトルももう少しなんとかなあ〜
という気がするのですが・・・笑
6. Posted by yori    2007年04月01日 22:03
苗坊さん
本当に素敵な作品でしたね。
このブログでこれだけ絶賛した作品は
久しぶりじゃあないのかな 笑

暫し骨休めをしています。
何となく最近、無理をして書いているような、
でもそれでは本末転倒ですからね 笑
書きたいことをまた書きたくなったら、
骨休めも終了です!!

7. Posted by Ray    2007年05月09日 13:00
こんにちは♪
久々に東野さんの本を読みました。読了感もスッキリ、気持ちのいい作品に仕上がっていると思いした――というのは、医療そのものよりも人間を中心に読んでしまったからかもしれないですけれど。

実は「白夜行」、未読なので今度読んでみますね^^
8. Posted by yori    2007年05月09日 19:05
Rayさん
東野さんの本が読みやすいのは、
理系作家と呼ばれるわりには、
技術的なものを小道具にしか
使っていないからかもしれません。
結局、主役になれるのは人間ですからね!!
9. Posted by たまねぎ    2007年05月18日 01:01
実を言うとこの本を読んだきっかけはyoriさんでした
読者大賞に推薦していたのを見て
こら読まなきゃいけませんねえとなったのでした
確かにとても完成度の高い作品ですね
10. Posted by yori    2007年05月18日 19:50
たまねぎさん
ありがとうございます。
細々と書いているブログですが、
こういう声は嬉しいですね!!
11. Posted by らぶほん    2007年06月16日 02:15
続けて東野作品を読んだせいでしょうか。
つい比べてしまいます。
「悪意」の人は誰ひとり作品には登場しません。
東野さんらしく心理描写も押し付けでないさりげなさで、疑惑と邂逅、信頼と裏切りそしてかすかな絆。
読みごたえもあり、心に響く一冊でした。
12. Posted by yori    2007年06月16日 08:14
らぶほんさん
ほんとうに悪人が出てきませんね!!
東野作品としては珍しいですが・・・苦笑
それでいてまったく飽きさせない展開は見事でした!!
13. Posted by    2007年10月22日 21:55
私も東野圭吾のファンで、「白行夜」は好きな作品です。でも、この作品も違った魅力を感じました。
ミステリーだけでなく、ヒューマンドラマとしても、人物がよく描かれていたと思います。
14. Posted by yori    2007年10月22日 22:46
花さん
ミステリーというよりもヒューマンドラマでしたね。優れたミステリーはきっと色々な側面を持っているのでしょう!!

コメントする

名前
URL
 
  絵文字