2007年09月26日

果敢な挑戦

島本理生さんは私にとって、
新作を心から待ち望む、数少ない作家の一人である。

彼女の新作「あなたの呼吸が止まるまで」を読んだ。
あえて難局に挑むような作品だった。
大人に向けて発信する小説としては、
小学生女子の一人称という、技量いかんによっては、
多くの人に違和感を持たれかねない設定だった。
それについては、随分と勇気ある選択だったと私は思う。

では、果たしてその選択の結果は、
吉と出たのか、凶と出たのか・・・

小学生の女の子の語り口にしては、
意外と安心して、落ち着いて読み進めることが出来た。
それはきっと、島本さんの文章の質感が繊細であったことと、
語り部となった主人公の内面が、
とても大人だった、ということに起因していると思う。

それにしても彼女の小説に出てくる男達は、
なぜか駄目男が多い 苦笑
今回もまた、目を覆いたくなるような
駄目男が二人ほど登場するのだが、そのうちの一人については、
本当に駄目男かどうかの議論が割れそうな気もする。
しかし、もう一人の男については、
過去の登場人物と比べようもないほどに、酷い 笑

一作ごとに成長する作家「島本理生」
世間の評価は兎も角として、今回の作品については、
果敢な挑戦にこそ、敬意を表しながらも、
私としては、次作に期待、ということにしてみたい 笑

あなたの呼吸が止まるまで


yori1199 at 22:11 │Comments(18)TrackBack(8)この記事をクリップ!島本 理生 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. あなたの呼吸が止まるまで⇔島本理生  [ らぶほん−本に埋もれて ]   2007年09月27日 07:20
4 あなたの呼吸が止まるまで 十二歳の野宮朔は、舞踏家の父と二人暮らし。 夢は、物語を書く人になること。 一風変わった父の仲間たちとふれ合い、けっこう面倒な学校生活を切り抜けながら、一歩一歩、大人に近づいていく。 そんな彼女を襲った、突然の暴力。 そして、....
2. あなたの呼吸が止まるまで 島本理生  [ 粋な提案 ]   2007年09月27日 14:24
装幀は帆足英里子。プロデューサーは栗本知樹。初出「新潮」2007年3月号。 語り手の野宮朔は舞踏家の父と暮らす12歳の少女。鹿山さんの強さに憧れ、田島くんが気になる学??..
3. あなたの呼吸が止まるまで 島本理生  [ "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! ]   2007年10月15日 16:42
3 あなたの呼吸が止まるまで ■やぎっちょ書評 島本理生さん最新刊です。良かったですよぉ。 説明文の丁寧な書き方が全体の雰囲気をうまく作ってくれていました。島本さんとしてはなかなか新しい?・・・でも彼女らしい雰囲気が出ていた気がします。 「大きな熊が〜」から....
4. 島本理生「あなたの呼吸が止まるまで」  [ 聞いてあげるよ君の話を ]   2007年11月10日 03:04
小学生の朔は舞踏家である父と二人で暮らしていた 母は職業にはならない舞踏を続ける父の元を離れ別の家庭を築いているらしい 父や父の仲間達、大人と一緒にいる時間が多い朔は、同級生達の子供っぽさが 苦手だったりする そんな朔は父の知り合いの青年に惹かれていく......
5. 「あなたの呼吸が止まるまで」島本理生  [ 本のある生活 ]   2008年02月02日 20:33
あなたの呼吸が止まるまで 島本さんというと、静かで張りつめた空気感が好きなんですが、痛い話とダメ男が多いのが気になるところでした。(いいなって思ったのは「リトルバイリトル」と「一千一秒の日々」に出てくる男の子くらいしか思い浮かびません・・) この作品は....
6. 本「あなたの呼吸が止まるまで」  [ <花>の本と映画の感想 ]   2008年02月10日 21:08
あなたの呼吸が止まるまで 島本理生 新潮社 2007年8月 舞踏家の父と二人暮らしの小学生の野宮朔。母は舞踏をひどく嫌って出て行っていない。父の帰りが遅くなることもしばしばで、朔は家でご飯を作って待っている。 大人の中で生活しているから、大人びて...
7. あなたの呼吸が止まるまで 島本理生  [ 苗坊の読書日記 ]   2008年05月28日 22:02
4 あなたの呼吸が止まるまで 舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。 一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。 そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。 いつかあなたとの話を書きます。たとえ何十年後でも――。待望の....
8. あなたの呼吸が止まるまで 島本理生  [ リトル・バイ・リトル ]   2008年07月15日 01:46
あなたの呼吸が止まるまで(2007/08)島本 理生商品詳細を見る「私はあなたを逃がさない」―父子家庭で育ち、母に捨てられたという傷を抱えながら??.

この記事へのコメント

1. Posted by きりり    2007年09月27日 00:04
うわ〜どんなんでしょう! 今図書館予約中です yoriさんの感想でもっと気になってしまいました
2. Posted by らぶほん    2007年09月27日 07:18
少女を主人公にしているため、違和感を感じた人もいるかもしれませんね。
私は、性被害者が持つ特有の自分に対する嫌悪や否定・怒りなどがよく描かれていたと思います。
腹が立つほど気分が悪くなる内容でしたが、実際には信じられないほど多くの女性が経験している感情なのかもしれません。
遊び感覚や軽い気持ちでする痴漢行為も、女性の心に大きな傷を残すことを男性にわかってもらえたら!と思います。
3. Posted by やぎっちょ    2007年09月27日 11:47
yoriさん
あ、読まれましたかぁ。今積読本にあります。
今回は小学生なのですね。楽しみです。そしてやはりというべきか、ダメ男。。。
次はいい男を書いてほしいです!
4. Posted by yori    2007年09月27日 21:49
きりりさん
たぶん女性が読んだ方が、すんなりと理解出来るのかもしれません。感想を期待してます。
5. Posted by yori    2007年09月27日 21:55
らぶほんさん
そうですね、男と女では読後感が全く違うのかもしれません。許容出来る範囲、いや、許容する範囲が、きっと違うのでしょう 苦笑
6. Posted by yori    2007年09月27日 21:57
やぎっちょさん
きっと女性から見た駄目な男と素敵な男は、微妙にかぶるのでしょう 苦笑 色男 金と力はなかりけり ってな感じでしょうか 笑
7. Posted by 藍色    2007年09月28日 01:47
こんばんは。
読んだ直後は、かなり感情的になってました。
島本さんの文章の繊細な質感と、とても大人な主人公の内面…。
静かに深く、怒りや悲しみを伝えてきていたことに思い当たりました。

8. Posted by yori    2007年09月28日 19:45
藍色さん
私も実は胸が悪くなりました 苦笑
しかし逆に言えば、胸が悪くなるほどに描けているわけで、それはそれですごいことなんだなあと・・・笑
9. Posted by やぎっちょ    2007年10月15日 16:46
yoriさん
こんにちは♪
いやいや、もう一人のダメ男はこれまでに比べてさらにダメ男でしたねぇ。今回は母親は出てきませんでしたが、こちらもダメ母でしたね。
島本さんの雰囲気、なんだか定着してきたような気がします。そしてこの雰囲気がとっても好きです。
10. Posted by yori    2007年10月16日 20:19
やぎっちょさん
親が駄目だと子はしっかりと育つモノなのでしょうか 笑
主人公の将来が心配でもあり楽しみでもありますね 笑
11. Posted by きりり    2007年11月10日 03:00
読みました〜 なんでしょうか ちょっとガッカリです
文章の良さとか感じさせないと言うか子供である良さも分からなかったです
そして毎度ダメな男がでますね〜 今回のはダメ男とは一線をひいてますね
12. Posted by yori    2007年11月10日 18:11
きりりさん こんばんは
今回は駄目男というよりも、異常者でしたね。本作の島本さんは、新しいスタイルへの挑戦だったのだと思います。温かく今後を見守りましょう 笑
13. Posted by june    2008年02月02日 20:32
yoriさん、こんばんわ。
島本さんうまくなったなぁと思いながらも(偉そうですが^^;)、なんかこう・・ダメ男が出てこないのも読んでみたいなぁって思ってしまします。
14. Posted by yori    2008年02月03日 14:39
juneさん こんにちは
次作「クローバー」は、だめ男の出てこない青春ものです!! だめ男がいなくても、しっかりと島本理生していて、よかったですよ!!
15. Posted by 苗坊    2008年05月28日 22:03
こんばんわ。TBさせていただきました。
島本作品はどんな作品でも読みたい!
と思うのですが、今回の作品も重たかったですね〜。
主人公が12歳というのが新鮮でした。
子どもの部分もありますけど、朔は大人びていて、だから傷つけられてしまったのかとも思います。
淡い恋心を踏みにじるあの男はひどいです。
今までのダメ男の中で1番人として最低だと思いました。
16. Posted by yori    2008年05月28日 22:21
苗坊さん こんばんは
ちょっと読むのが辛い作品でしたね。こんな島本理生、やっぱり新境地に挑んだのでしょうか。
17. Posted by    2008年07月15日 01:40
こんばんは、お久しぶりです。
確かに言われてみれば、島本作品にはダメ男がどんどん出てきますね…(苦笑)
朔くらいの年齢のときって、女の子には年上の男の人がすごく怖く見える時期だと思うので、あの行為は本当に許せないです。そして、男性恐怖症になってもおかしくないのに、お父さんを避けなかった朔の強さに、よく頑張ったねって言ってあげたくなりました。
18. Posted by yori    2008年07月15日 22:57
爽さん こんばんは
この作品ではダメ男がダメすぎましたね 苦笑 父に対する評価は割れているようですが、どんなものでしょうか 笑

コメントする

名前
URL
 
  絵文字