2009年09月26日

レッテルという名の分類

ミステリー作家の作品を読む時、
私たちは何の前振りがなくとも、
それはそれなりの、ミステリー的なものだと期待する。
というよりも、それが当たり前のものだとして受け入れる。

しかし今のミステリー作家は、いや、もしかしたら昔だって、
松本清張のように、そうだったのかもしれないが、
的が広いというか、芸達者というか、何が飛び出すかわからない、
といった期待と不安が綯交ぜになったような所がある 笑

それが吉と出るのか凶と出るのかは、その時それぞれなのだろう。


京極夏彦さんの短編集「幽談」は
読中読後、妙なほどの意外な感のある作品集である。

私が読んできた京極ワールドといえば、
中禅寺秋彦を擁する京極堂シリーズと
御行の又市を擁した巷説シリーズということになる。
京極堂シリーズは終戦後の昭和20年代後半を舞台とし、
巷説シリーズは江戸時代末期から明治初期を描いている。
巷説は勿論のこと、京極堂シリーズでも、
その雰囲気は現代とは明らかに異なる、京極ワールドを形する。

ところが「幽談」は現代のお話、なのである。
京極夏彦の風味を残しながらも、その触感は全く過去のものとは違う。
それはミステリーではなく、おどろおどろしい魑魅魍魎の世界でもない。
どこか不可思議な、それでいて妖しげな、
ある種、純文学的香りさえする、「幽談」は正統派の文学だった。

直木賞をすでに受賞済みの京極さんだけど、
新たに芥川賞を差し上げてもいいのではないか??? と 笑
そんな気がした、短編集「幽談」だった!!!

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yori1199 at 23:03│Comments(4)TrackBack(0)この記事をクリップ!京極夏彦 | 本に関する雑文

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この記事へのコメント

1. Posted by うらら   2009年09月30日 18:46
yoriさんお久しぶりです。

「哂う伊右衛門」をこの間から読み進めているところですが、次々と読みたい本が出てきて私の机まわりは読みかけ本で溢れてしまっている状態です。
トホ
でも〜yoriさんのこの記事で是非「幽談」読みたくなりました。読みかけ本早くなんとかしなっては。。。^^;;
2. Posted by yori   2009年10月01日 23:12
うららさん ご無沙汰です!!!
哂う伊右衛門も良いですよね。怪談ではなく素敵なラブストーリーにしてしまうところが、京極夏彦氏の京極堂たる所以でしょう。
3. Posted by ぶんこや   2009年10月13日 02:03
このところ訳あって、新しい本をあまり買えずにいます。再読ばっかりで、それも楽しいけれどちょっと欲求不満気味・・・

これ、読んでみたいです。
表紙の雰囲気がまた、すてきですね・・・
4. Posted by yori   2009年10月13日 23:07
ぶんこやさん こんばんは
この本は微妙です。純文系っぽいところが、京極氏的なものを求める人には、微妙です。当たるも八卦的な感じです 笑

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