京極夏彦

2009年10月17日

迷宮の断面

茶筒を正面から眺めた時、
長方形と答えることは間違いだろうか。
少なくとも正面から、という条件下では、
その解答は正解ではないまでも、間違いではない。

茶筒を上面から眺めた時、
円と答えることは間違いだろうか。
少なくとも上面から、という条件下では、
その解答は正解ではないまでも、間違いではない。

しかし、言うまでもなく、
茶筒は円でもなければ長方形でもない。
四方から眺めてみれば、
それは単純にも立派な円筒形なのである。

上記は、物事の本質はただ一つの断面を見ただけでは、
結局のところ、分からない、という逸話だ。

京極夏彦さんの「邪魅の雫」を読んだ。
複数の断面から一つの事象を追い詰めていく、
このスリリングな迷宮小説は、
私にそんな逸話を思い出させてくれた。続きを読む

yori1199 at 16:21|PermalinkComments(4)TrackBack(3)この記事をクリップ!

2009年09月26日

レッテルという名の分類

ミステリー作家の作品を読む時、
私たちは何の前振りがなくとも、
それはそれなりの、ミステリー的なものだと期待する。
というよりも、それが当たり前のものだとして受け入れる。

しかし今のミステリー作家は、いや、もしかしたら昔だって、
松本清張のように、そうだったのかもしれないが、
的が広いというか、芸達者というか、何が飛び出すかわからない、
といった期待と不安が綯交ぜになったような所がある 笑

それが吉と出るのか凶と出るのかは、その時それぞれなのだろう。
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yori1199 at 23:03|PermalinkComments(4)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2009年08月13日

妖しき学究の徒

「百鬼夜行」という言葉を辞書で引いてみる。

いろいろの姿をした化け物どもが夜中に歩き回ること。
〔多くの人が不正行為や醜行をしながら、だれも怪しまない、
無秩序の状態の意にも用いられる〕ひゃっきやぎょう。

とある。

私の中で「百鬼夜行」といえば、
京極夏彦先生の小説のネタ、ということになるのだろうか 笑

今回読んだ一冊は小松和彦氏の「百鬼夜行絵巻の謎」
お化けのお話しかと思い購入してから、
暫くの間、書庫で眠っていた一冊だ。続きを読む

yori1199 at 23:14|PermalinkComments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2008年12月16日

哀しい気持ち

再読月間も佳境に入っている。
3冊目の再読は京極夏彦先生の「後巷説百物語」
巷説シリ−ズを3冊を続けて再読するという、
まさに暴挙に挑戦してしまった 苦笑

以前に読んだ時には、当然のことながら
随分と長い間を開けて読んだ3冊の小説を、
シリーズ物とはいえ、間髪入れず続けて読むと言うことは、
結果として、とても意義のあることだったのではないか、
と自画自賛している今日この頃である 笑

巷説百物語シリーズというと、
妖怪化物系の必殺シリーズ的なイメエジが先行するのだが、
こうしてじっくりと腰を据えて読む巷説シリーズは、
随分と印象が違っていた。

哀しい気持ち

読後に訪れる何ともやるせなく切ない気分、
これぞ小説、これぞ読書、きっと読めば読むほどに
心揺さぶられる京極ワールドに、ただただ脱帽である。

そんな呆然とした気分の中で、
初めて読む小説と向き合う気分にはなれない。
といことで読み始めたのは「前巷説百物語」と迷った末の、
村上春樹「羊をめぐる冒険」である。

やれやれ、再読月間はいつまで続くことやら・・・苦笑

yori1199 at 22:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2008年11月20日

引き続き巷説

巷説百物語を再読した勢いそのままに、
続巷説百物語を再読した。

続巷説の物語達は、
巷説の時系列に絡みつくように配置されているので、
読み進むに従って、
物語それぞれの時間的位置付けが無性に気になってくる。

そこで役に立ったのが「前巷説」の付録だった
「巷説百物語シリーズ解説書」である 笑

先日の記事で、再読した巷説百物語は
意外なほどにサッパリとした印象だった、と書いた。
しかし、続巷説になると物語は一気に重厚さを増してくる。
登場人物達それぞれの重く暗い生い立ちや過去が、
物語を否が応でも悲しく切なくさせていく。

この世のすべては夢か幻か、
それともうつつのすべてはまやかしか、
引き続き「後巷説百物語」に突入してしまった私は
すっかり夢と幻とあやかしに魅せられている 苦笑

yori1199 at 22:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2008年11月15日

再読の意義

「巷説百物語」を再読した。
言うまでもなく「御行の又市」を主人公に頂いた
京極夏彦さんの人気シリーズの一冊である。

本来、巷説シリーズを再読するのであれば、
本シリーズの第一作である「嗤う伊右衛門」から
再読を始めるべきだとは思うのだが、
そこはそれ、ついつい「巷説百物語」から
読み始めてしまったので、御容赦願いたい 苦笑

私の巷説シリーズに対する印象は、
濃厚な物語だ、ということになる。
しかし再読した「巷説百物語」は、
意外なほどに、サッパリとした印象だった。続きを読む

yori1199 at 21:39|PermalinkComments(2)TrackBack(1)この記事をクリップ!

2008年10月19日

本格というフィールド

京極夏彦氏の作品は、一部の例外的作品を除けば、
二つの大きなカテゴリーに分類できるだろう。
片翼は百物語に代表される又市シリーズであり、
もう一方は言わずと知れた
中禅寺秋彦を擁する京極堂シリーズである。

そして京極堂シリーズをさらに細分化すると、
シリーズの本道を行く本編シリーズ以外に、
本編のサイドストーリー的「百鬼夜行 陰」
妖怪研究家「多々良勝五郎」を擁する
妖怪オタク系「今昔続百鬼 雲」
そして中禅寺秋彦の盟友、我らが榎木津礼二郎を
主人公に据えた本格ミステリアスコメディ
「百器徒然袋」シリーズとなる。

それぞれに味のある京極堂シリーズの外伝達だが、
作者からそれぞれがそれぞれに、意味と意義を持って
与えられた位置づけがある、ような気がするのだが・・・
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yori1199 at 22:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2008年01月25日

心模様の夏

眩暈坂に、
二度目の夏がやってきた。
作品のタイトルは
「陰摩羅鬼の瑕」である。

伊豆の騒動の終結で、
一つの大きな区切りがついた京極堂シリーズだが、
長野を舞台にした「陰摩羅鬼の瑕」は、
まさに第二舞台、セカンドステージの、
幕開けを告げるにふさわしい快作だった。
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yori1199 at 23:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2007年11月29日

好事家達の宴

「あなた、妖怪お好きですか??」
と、いきなり問われたら、
たぶん、私を含めて、多くの人は引くだろう。
そしてそう問うた人とは、
あまり友だちにはなりたくない、
と思うだろうことは、想像に難くない 笑

しかし、そう問われて迷わず
「はい、好きです」と答え、
後にはその人物と友人になる男のいる所が、
この小説のすごい所だ 笑

この小説とは何か、と問われたら、
それは京極夏彦氏の京極堂シリーズ外伝
「今昔続百鬼 雲」と答えることになるのである。続きを読む

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2007年10月27日

加速する探偵

滅茶苦茶である。
滅茶苦茶ではあるけれど、文章はスピード感に溢れ
笑いとシリアスが疾走し、併走しながら、
物語はただひたすら、悪人退治目掛けて突き進んでいく。

京極夏彦さんの中編小説集「百器徒然袋 雨」は
京極堂シリーズのサイドストーリー集ではあるのだが、
同じサイドストーリー集である「百鬼夜行 陰」とは打って変わり、
まさに陰と陽、もしくは明と暗、さらには躁と鬱、
と言うくらい、「百鬼夜行 陰」とは、
好対照的な仕上がりを見せてくれている 笑続きを読む

yori1199 at 21:53|PermalinkComments(8)TrackBack(0)この記事をクリップ!